脱臼の原因と特徴

脱臼は、関節を構成する骨が正常な位置からずれてしまう状態を指します。これは、日常生活における転倒やスポーツ中の事故など、様々な原因で起こり得る一般的な怪我の一つです。脱臼の特徴を理解することは、適切な予防と治療に繋がり、関節の機能回復と合併症の予防に役立ちます。

1. 激しい痛み

脱臼した京都府八幡市在住の男性

脱臼の最も顕著な特徴の一つに、激しい痛みが挙げられます。これは、骨が正常な位置からずれることで、関節包や靭帯、周囲の筋肉などの軟部組織が損傷し、炎症が起こるために生じます。痛みの程度は脱臼の程度や部位、個人の痛みに対する感じ方によって異なりますが、多くの場合、耐え難いほどの激痛を伴います。

  • 痛みの種類:

    • 鋭い痛み: 脱臼直後に感じる、突き刺すような激しい痛み。
    • 鈍い痛み: 炎症による、持続的な痛み。
    • 運動痛: 関節を動かそうとしたときに増強する痛み。
  • 痛みの影響:

    • 日常生活の制限: 痛みのために、着替えや食事、トイレなどの日常生活動作が困難になる。
    • 精神的なストレス: 激しい痛みが続くことで、不安や恐怖を感じ、精神的なストレスを抱えることがある。
    • 睡眠障害: 夜間も痛みが続くことで、睡眠が妨げられ、疲労や倦怠感を引き起こすことがある。

 

2. 関節の変形

脱臼の変形

脱臼が起こると、関節を構成する骨が正常な位置から外れるため、関節の形状が変化し、変形が目視で確認できる場合があります。変形の程度は脱臼の程度や部位によって異なりますが、明らかな変形は脱臼を疑う重要なサインとなります。

  • 変形の種類:

    • 突出: 脱臼した骨が皮膚の下に突出している状態。
    • 陥没: 脱臼した骨が本来の位置から陥没している状態。
    • 軸ずれ: 関節の軸がずれている状態。
  • 変形の影響:

    • 外見上の問題: 関節の変形が目立つ場合、外見を気にすることがある。
    • 機能障害: 関節の変形により、関節の動きが制限され、日常生活やスポーツ活動に支障をきたす。
    • 神経・血管の圧迫: 変形した骨が神経や血管を圧迫し、しびれや血行障害を引き起こすことがある。

3. 運動制限

脱臼による運動制限

脱臼が起こると、関節が正常に動かせなくなるため、運動制限が生じます。これは、骨が正常な位置からずれていること、関節包や靭帯などの軟部組織が損傷していること、痛みが強いことなどが原因で起こります。運動制限の程度は脱臼の程度や部位によって異なりますが、日常生活に支障をきたすほどの制限が生じることもあります。

  • 運動制限の種類:

    • 屈曲制限: 関節を曲げることができない。
    • 伸展制限: 関節を伸ばすことができない。
    • 回旋制限: 関節を回すことができない。
    • 外転制限: 関節を外側に広げることができない。
    • 内転制限: 関節を内側に閉じることができない。
  • 運動制限の影響:

    • 日常生活の制限: 着替え、食事、トイレ、入浴などの日常生活動作が困難になる。
    • 仕事への影響: 仕事内容によっては、仕事ができなくなる。
    • スポーツ活動の制限: スポーツができなくなる。

4. 腫れやあざ

脱臼で足首が腫れている京都府八幡市在住の女性

脱臼が起こると、関節周囲の組織が損傷し、炎症反応が起こるため、腫れやあざが生じることがあります。これは、損傷した組織から血液やリンパ液が漏れ出すために起こります。腫れやあざの程度は脱臼の程度や部位、個人の体質によって異なりますが、著しい腫れやあざは、周囲の組織へのダメージが大きいことを示唆しています。

  • 腫れの原因:

    • 炎症: 損傷した組織から放出される炎症性物質による血管拡張と血管透過性亢進。
    • 出血: 損傷した血管からの出血。
    • リンパ液の貯留: リンパ管の損傷によるリンパ液の貯留。
  • あざの原因:

    • 皮下出血: 皮膚の下に出血が起こり、血液中のヘモグロビンが分解されることで、青紫色に変色する。
  • 腫れやあざの影響:

    • 痛み: 腫れによって周囲の組織が圧迫され、痛みが増強することがある。
    • 運動制限: 腫れによって関節の動きが制限されることがある。
    • 感染: 皮膚に傷がある場合、細菌感染のリスクが高まる。

5. 神経や血管の損傷

脱臼により内出血

脱臼が起こると、脱臼した骨や周囲の組織によって、神経や血管が圧迫されたり、損傷したりすることがあります。これは、脱臼の程度や部位、神経や血管の位置関係によって起こりやすさが異なります。神経や血管の損傷は、しびれや麻痺、血行障害などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

  • 神経損傷:

    • 症状: しびれ、麻痺、感覚異常、筋力低下など。
    • 影響: 日常生活や仕事、スポーツ活動に支障をきたす。後遺症が残る可能性もある。
  • 血管損傷:

    • 症状: 冷感、蒼白、脈拍の減弱・消失など。
    • 影響: 血行障害により、組織の壊死や機能障害が起こる可能性がある。

6. その他の特徴

  • クリック音: 脱臼が起こる際に、関節から「カクン」や「ゴリッ」といったクリック音が聞こえることがある。
  • 不安定感: 脱臼した関節は、不安定な状態になり、再び脱臼しやすくなることがある。
  • 習慣性脱臼: 繰り返し脱臼することで、関節がさらに不安定になり、軽微な外力でも脱臼するようになることがある。

脱臼は、適切な処置を行わないと、関節の機能障害や変形、神経・血管の損傷などの合併症を引き起こす可能性があります。 もし脱臼が疑われる場合は、無理に動かしたりせず、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。 早期に適切な治療を受けることで、関節の機能回復を促し、合併症を予防することができます。